「けふっ」


お腹いっぱい……もう食べられない……。


スパゲティも、お肉のソテーも、スープも、サラダも、デザートも、全部すっごく美味しかった。


お皿いっぱいのスパゲティは3回おかわりしたし、お肉は4枚、デザートのロールケーキはほとんど1本食べた。


「相変わらずよォ食べはるねェ。

そないほっそいカラダのどこに収まるん?」


ソファーで横になっている私を見下ろして、くつくつと笑う彼は、ちょっと嫌いじゃない。


「ちょっと待っとってな、皿洗ってくるさかい。

そしたらお茶煎れるわ」


そう言ってキッチンに戻る彼の後ろを黙って付いていく。


「?どないしたの」


スポンジを泡立たせながらキョトンとしている彼の隣りに立つ。


「拭く」


ぶっきらぼうにそう言えば、ふっと笑って私の頭をポンと撫でる。


「おおきに」


彼が洗った食器を丁寧に拭いて食器棚にしまう。


無言で流し台に向かっている彼の背中に、小さく呟いた。


「……おいしかった、です」


こんな簡単な気持ちを伝えるのに、ここまで緊張する自分に呆れる。


彼の反応を見ようと顔を上げると、彼の動きがピタリと止まっていた。


「……アカン」

「?」

「……ズルいわそんなん」

「へ?」


「なにいってるの?」そう尋ねようと近づいたら、いきなり振り返った彼にギュッと抱き締められた。