いつの間に寝てしまったのか、自分でもよく覚えてない。


「おーい、そろそろ起き」


耳の奥に優しく響く甘い声と、鼻をくすぐるいい匂いで目が醒めた。


「おはよ」


ガバッと体を起こせば、パーカーがぱさっと床に落ちた。


ソファーで寝てしまった私に、多分かけてくれたんだと思う。


「あの……ごめんなさい、私いつの間にか……」

「ものそい気持ちよさそうに寝とったね」

「ごめ……!」


「ええのええの、気にせんとき。

むしろイイコト聞かせてもろたし」

「?」


「なんでもない、こっちの話や」私の頭をぽんぽんと軽く撫でながら、彼は楽しそうに笑った。


寝起きの目をゴシゴシ擦っていたら、「子猫みたい」って笑われた。


「寝起きやけど、ゴハン食べれる?」

「……お腹ぺこぺこ」

「ならこっちおいで」


彼に促されてゆっくり立ち上がる。


さっきまで明るかった窓の外はすっかり暗くなっているから、かなり寝たんだと思う。


久しぶりにぐっすり寝たかも。


こないだ彼が私の部屋に来て以来、寝不足だったから……。