中臣はあたしの前に来て



「流石です実央さん。男前です格好いい!!」



「果たしてそれは嫌味なのか単に誉めてるだけなのか。」




絶対100%嫌味だ!!




「ま、でも。」



「ーッた!!」




グイッ、と手荒にあたしの頬のかすり傷についた血を中臣が親指で拭った。




赤い雫がついた彼の親指を、中臣が唇に運ぶ。




「関心は、しませんね?」




ペロ、とその親指を舐める。




少し出した中臣の舌が赤く染まる。




染めたものは自分の血だと思ったら、




途端に頬に熱が集まる。



「…ご、ごめん。謝りまる……」



「よろしい。」




なにが“よろしい”よ!



満足そうな顔しちゃってさ!!




「ま、帰りますか。」




そう言って、中臣はサッサと歩き出してしまった。