「でも実央さんには1ついらない行程が……」
うざみんの座っていたパイプ椅子を中臣に投げる。
「危ないなぁ。ハハハ」
なんっで当たんないだよコイツはぁっ!!
くぁ~~っっ、
小憎たらしい!!
つぅか憎い!!
「そ・れ・よ・り!
今のところ怪しいのはコイツだけ!
だったらコイツに的を絞るべきよ!!」
あたしがそう言うと、中臣がきょとん、とした顔であたしを見ていた。
「?なによ?」
「いえ……ま、この人物をあたるのは警部の仕事ですし。
僕達は帰りましょう。」
そう言って、中臣が立ち上がる。
「う、うん……」
あたしも、中臣の後を追った。
店を出て、
うざみんと別れる。
帰ろうとした時、
「誰かーーっっ!
ひったくりよーっっ!」
「!!」
女性の声が聞こえ、後ろを振り向く。
女性の鞄と思われる物を抱えてこっちに走ってくる男性がいた。
「待ちたまえっ!」
「どけっ!!」
「あぅっ!!」
ひったくりを止めようとしたらしいうざみんが前に立ちふさがったが
呆気なく突き飛ばされた。
よっえぇぇーー!?
「実央さん。下がっ……」
「中臣。下がって!!」
「え?」
あたしは中臣を後ろに庇って
腰を低く下ろし、構えた。
「どけぇーっ!!」
真っ直ぐ向かって来る男性を見据えてー‥