「で、実央さん?」
結局、送られる事になって、帰り道
中臣が嫌な笑みを浮かべながら私に言った。
「何よ。」
「‥どうして実央さんが、僕の秘密を知ってスッキリするんです?」
ニヤリ、と口角を上げて意地悪く笑った顔
あたしはそれがなんだか腹立たしくて、
「‥べっ、別にアンタの心配してたわけじゃ…!」
「心配?僕の?」
「あ…」
墓穴
クスクスと笑う中臣
~~っ、
あーームカつく!!
「中臣のバカ!
もうここでいいわよ!!」
十字路の所で別れる。
中臣を背にサッサと歩き出す。
「実央さん。」
「あーもう何!?」
後ろを振り返れば、人差し指を口に当てて微笑んでいる中臣
レンズ越しの中臣の瞳を見て、
「2人だけの、秘密ですよ。」
アンタとあたしに出来た、
たった一つの秘密。
いつか、
他人の感情が理解できるその日まで
たったそれまでの、
図書館での秘密。
~Fin.