中臣の言葉に、頷く。
「うん。
あとがきで書いてあった。」
『自分が人の心理をわかる事は一生ない。例えトリックが解けたとしても、その人の気持ちは一生わからないだろう。』
「って。」
「キザ、ですね。」
まぁ、ちょっと。
あたしもそう思ってたけどさ。
「けどさー‥それって、わからないって言ってるけど、わかろうとしてるのかなー‥って、あたし思ったりする。」
‥わからないからこそ、わかろうとするべき事。
きっと、人間が他人の気持ちがわかるようになるのは、多分ないと思う。
だからこそ。
溝ができてしまったり、ケンカしてしまったり。
人を殺してしまったりするのだろう。
「人の感情を知りたい。あたしね、あの小説からは、そんな風に感じたの。」
あたしも、
人を知りたいから。
共感してしまった作者のハヤテさんに
だから好きになったんだ。と、改めて思った。
「中臣はさ、思った事ない?人の気持ちを知りたいって。」
「……ありますよ。
ずっと。ずっと知りたいと思う。実央さんより、ずっとね。」
中臣の、
その言葉はあまりにも意外だった。