「前田 志乃さん
あなたが事件当日、手にしていたあの本です。」
ーーーーーっ!!
「…………」
「…前田、お前…?」
「志乃、うそ、で、しょう……?」
「‥なんで……?」
口々に、そう漏らす。
「ちっ、ちがいます!あの本なら、当日気が動転してて、も、持って帰ってしまっただけなんです!!」
「それなら、その本を警察に渡せますよね。」
「え……?」
中臣が、角の潰れた本を見せる。
「後頭部を殴打したものですから。角が潰れているかもしれませんね。
被害者にも血が滲んでいたし。
いくら帰って血を拭き取っていても、ルミノール反応くらい出ると思いますから。
だからその本から何も出なければ、あなたの無実は簡単にはれますよ。」
言葉を並べ、
彼女は何も言えず俯き、震えていた。
ガクン、と床に崩れ落ちた。
何も言わない。
「‥そう、私が殺したんです。」
彼女は、認めたー‥。