コンコン



ドアの叩く音と同時に入って来たのは







美也...
じゃなくて
伊織

切られた髪を
無造作に遊ばせ

高そうなスーツを着た伊織は


顔色一つ変えず

あたしを見た


でも
何事も無かったかのように
ましてや
初対面かのように


名刺を差し出してきた


「「店長の水谷伊織です」」


さなは
気付いていないのか
隣で
カッコいいねと呟く

あたしは気付いていないふりをして
さなに話を合わせる