「紗希乃との約束が守れなかった…」
しゃくりあげる
ママの声にゾッとした。
手に汗をかき
少し後退った。
「カナメ」
後ろから名前を
呼ばれヒッと声をあげる。
「カナメ、大丈夫?」
名前を呼んだのは
ハルで、ハルが私を
心配してくれたのが
何気に、嬉しかった。
「カナメはさ、イヤだ?」
何が?
ハルは時々
主語が抜けている。
「……だからさ、俺と姉弟なのとかさ。母さんや父さんが親なのが。」
「そんなのっ」
当たり前だよ。
そう言いたいんだけど
その言葉を飲み込む。
ママやパパが
嫌いなんじゃない。
ハルが
嫌いなんじゃない。
ただ、本当の
ママ達にあいたいんだ。
でも、あって
ママが私のことを
忘れてたりしたら嫌だから。