委員長になるメリットは正直なところ主立ってないが、誰しもがなれるわけじゃない。
ましてや今年度と来年度、2期連続で務めた人はいないはずだ。
灘谷なら、申し分ないというのに。
「もちろんです。壮行会なんて名ばかりだと、自分自身の行動で気付きました。3年生のことを一切考えないで作った花束なんて、贈れるわけがありません」
首を左右に振り、灘谷は嘆息を吐いた。
口元には、普段の彼に似つかわしくない弧をゆるりと描いて。
「…俺はどう転んでも、嬉しいよ」
本心だった。
そして、この賭けに俺が勝つことになるとは思いもしなかった。
「……というわけで」
ちらりと優梨に視線を戻せば、案の定―――
『な、灘谷くんが…わっ私なんかを、推したんですかっ…!?』
顔を真っ赤に染めて、口をパクパクさせていた。
驚愕の声を漏らしながらもどこか嬉しそうに声を弾ませる姿に、胸の奥が焦げるような痛みを感じた。
……俺が、嫉妬をするとはね。
「(………あぁ、面白くない)」