じたばたと1人で悶えていると、すっと机に影が掛かった。


ん?と思って顔を上げると、呆れた表情をした紫折(しおり)がいた。



「優梨ちゃん……怖いよ」



三獰 紫折(みどう しおり)―――大人っぽくて、お姉さんって感じがする。


七鴇さんみたいに長い黒髪がまた、妖艶で魅力的。


対して私の髪の毛は短いし生まれつき茶色くて、ゆるくパーマがかかってる。


皆には可愛くて羨ましいなんて言われるけど、顔がこれなんだから有効活用できてないよ…。



「元気出しなよ、優梨ちゃん」



いつも優しくて綺麗で、気のおけない大事な親友。


きっと紫折は、私みたいに失恋なんてしたことないんじゃないかなぁ…。


ぐるぐるとマイナス思考を続けていると、紫折にデコピンをされた。



『あうっ』


「優梨ちゃんは可愛いんだから、灘谷くん以外にも目を向けて見なよ」



……そんなこと、言われても。




『……………無理』






だってまだ、好きだもん…。