再び、歪み始める視界。
七鴇さんの席の横に灘谷くんが立って、2人はにこやかに会話していた。
時たま、灘谷くんが七鴇さんの頭をくしゃくしゃと撫でている。
…私には、周りにお花が飛んでいるように見えますよ。
『(諦めるどころか、かなり引きずってるし…!)』
灘谷くんとは、同じ学級委員をしている。
いつも仕事を先にやってくれていて、私が居残り作業をしなくても良いようにしてくれた。
“夜道は危ないから”
たったそれだけ。
…その一言に、私は惚れてしまった。
『(はぁ……カッコいいんだよね、また…)』
眼鏡男子代表、なんて同じクラスの倉眞 月菜(くらま るな)ちゃんは言ってたけど。
ちなみに……月菜ちゃんとは塾が一緒だったから、他の子よりもずっと仲が良い。
『(黒フレームの眼鏡に、癖のある猫っ毛……知的な鋭い瞳に、学年1位の知能……)』
素敵すぎるよっ…!