「いえ、お心遣い感謝致します」


手紙を受け取り、中身を出すと案の定見慣れてきた文章。


貴方は姫ではない。浮かれて旅行などいい気になるな。


品の欠片もない、低俗な言葉。

私は眉を寄せる事もなくその文面から視線を外すと、逆に眉を寄せた支配人と目が合った。


「これは…幼稚な悪戯ですね」

「大丈夫です。慣れてますので」


そう、慣れているのだ。

だから悲しむなんて事はしない。悲しむのはもう終えた。

此処まで嫌がらせを続けられれば、苛立つ方が勝る。まして、修学旅行のこの場所でと来れば尚更。


「何か私どもに出来る事があれば何なりとお申し出下さい」

「ええ、助かります。それよりも支配人、お願いがございますの」

「はい」