「…うーん。こんなこと言っちゃ、皆川さんや社長に怒られちゃうかもだけど。これから、りっちゃんが本当に経験していけばいいんじゃないかな?」
「…え?」
「なんていうか…、好きになるって、いろんな形があると思うんだ。りっちゃんにはりっちゃんなりの、俺には俺なりの好きがさ。だから、これからりっちゃんが探していけばいいと思う。…って、全然アドバイスになってないね。」
…そう言って、ちぃくんは小さく笑った。
「うーん…。ありきたりなことしか言えないけど、やっぱりその人の気持ちになって考えるのが近道じゃないかな。」
少し考えたあと、ちぃくんはそう言った。
「…その人の気持ちになって考える?」
よく分からなくて、私は首をかしげる。
「そう。芹葉の気持ち。こういう時、芹葉はどうしただろう、とかね。」
…やっぱりちぃくんは良き先輩であり、お兄ちゃんのような存在でもあるなぁと実感した。
演技だけじゃなくて、本当に大事なこともたくさん教えてもらってる気がする。