「あ〜…ごめんね?」
…今日はやけに素直だ。
蒼が素直に謝るなんて、夏に雪が降るぐらい珍しい。
「前に取材が入っちゃって。やっぱ、売れっ子は大変だよね。」
余裕の笑みを浮かべながら、蒼はそう続けた。
…やっぱり気にくわないヤツ!!
なにさりげに自慢してんの!?
思わず蒼を突き飛ばすところだった。
…だめだめ。
今は仕事中だ。
私と蒼は、恋人なんだから。
半ばヤケで、私は満面の笑みを浮かべる。
最近、歳も近いせいか蒼と同じ現場の仕事が盛りだくさん。
そのたびに、蒼はこうやって私をからかってくる。
ホントにいけすかない男だ…。