思いがけない展開に、
あたしは爽介を見たまま
呆然と立ち尽くしてしまう。



そんなあたしに爽介は
もう一度『ゴメン』と謝って……

そしてそのまま振り切る
ように、触れてた手を
離して廊下を歩き出した。



「あ、爽介……!」



待ってよ、って言おうと
した声がノドの奥で消える。



爽介の背中は何だか
近寄っちゃいけないような
雰囲気が漂ってて、それ
以上引き止められなかった。



「爽介―――…」



最後に小さくつぶやいた
それは、きっと届くことはなく。



そのまま爽介は、廊下の
途中にある裏口から店を
出ていった。