「徳丸!あんたココにいたの?レッスンルームに入っちゃダメっていつも言ってるわよね?」


徳ちゃんのお母さん……私の、ピアノの先生が現れた。


「うわ、鬼ババ」


徳ちゃん、慌てて下へとおりて行った。


はは、鬼ババって……。


怒ったら怖いんだけど、ピアノに対する情熱がそうさせるんだよね。


徳ちゃんはピアノ弾かないし、レッスンルームへはむやみに入ったらダメらしいんだ。


先生は、いつ見てもおしゃれ。小顔でスタイルもいいし、私の憧れ。


もちろんピアノの腕も確かで、ピアノ講師として働いてる若い人までもが、今でも先生のレッスンを受けにくるくらいなんだ。


私も将来は先生みたいに、綺麗で、生徒に羨ましがられるような先生になりたいな。


それが……私の、夢。


ピアノを弾いてる間だけは、妄想はしない。


ただ……その音色だけに


意識を集中し、耳を傾ける。