「皆さーん、チカンには気をつけて下さいね」


結城くんの近くにいた女の子がそう言うと、


前髪パッツンくんは、慌てて違う車両へと逃げて行った。


「……菅沼さん、大丈夫?」


「う……うん」


「その……。どっか触られたりしたわけ?

見てた感じだと、初めは彼氏かなと思ったんだけど

なんか様子違ってたし……」


かっ、彼氏!?


「チカンじゃないんだけど……なんかちょっとしつこい人で……」


そしたら結城くんが、ホッとした表情を見せた。