「お礼……。そうですよね、私ったらタダで帰ろうなんて」


「今から、ヒマ?」





え?

これって……デートのお誘い?

うそっ!?




「ヒマです!」

本当はヒマじゃないの。

家に帰ってピアノのレッスンが……。

いや、そんなコト言ってる場合じゃない。




一生に一度の大チャンス!!

このビッグウェーブに乗り遅れたら(←大げさ)


私はきっと後悔する!




「じゃ、今からちょっと付き合って」


「えーと。私で、いいんです……か?」


「あぁ」


そう言うと、結城くんはカバンを肩に引っかけ、歩き出す。