結城くんはその事に突っ込むでもなく、カバンから何かを取り出した。


……あ、スルーですか?


ま、いいけどね。


「本、ありがとな。読み終わった」


「そーなの!?早かったね」


「ん。……最後の方は飛ばし読みなんだけどな。やっぱ恋愛小説は、合わないかも」


そう言って結城くん、苦笑い。


「だよねぇ。女の子向けの本だしね……」


「けど、勉強になった。ハッピーエンドじゃないんだな……この話」


「うん……」


そう。この話の主人公は好きな人と結ばれないんだ。


恋愛小説で言えばバッドエンドなんだろうけど、


よく読めば、本当はこの終わり方はハッピーなんだよ。