「つい取り乱してしまいまして…ごめんなさい……。

あの…はじめまして。
天宮祈咲です。


……えっと…お父さん…。」



あたしは何とか持ち直し、ペコリと頭を下げて挨拶をした。



だけど、十夜のお父さんはなんだかしゅんと悲しそうな顔……?



あ…!ま…まさか…!



「え…えぇっと、……十夜パパ…さん……?」



「………!」



その途端、十夜パパの顔がパァっ!と笑顔に変わる。



このわかりやすいところ…間違いなく親子だ!



外見があまり似ていない十夜とお父さんを改めて実の親子だとあたしが実感していた……その時









「ずいぶんと賑やかなことだ……。」



「………!!」



威厳たっぷりの低い声に思わず振り返る。



「やぁ、お父さん。お久しぶりですねぇ…。」



十夜のお父さんののんびりとした言葉がなんだかありがたい。



「連れて来たぞ……。……じいさん。」



「………っ!!」








――――似てる。



初めて見た十夜のお祖父さんは、お父さんよりよほど十夜にそっくりだった。



白いものが混じっているけれど、以前はきっと美しい濃藍色の髪だったんだろう。



切れ長の鋭い二重も高い鼻も…驚くほどよく似ていた。



年波を思わせないピンと伸びた背筋が印象的だった。



渋い色の和服がとてもよく似合っていて…



それが更にこの人の威厳を強く見せた。



強い光を宿す鋭い瞳がひたとあたしを見据えていた。










「……よく来た。


………花嫁。」