今の…なに……?
止まりかけていた震えがまたさっきよりもひどくなって戻ってくる。
そう言えば今さらだけど…
あの不良達を追い払ったのは……誰なの…?
『バケモノ』
そんな切羽詰まった叫び声が耳の奥に蘇る。
その時だった。
暗闇で恐怖にすくむあたしの視界がスー…と…開けた。
ふと……見上げれば、真っ暗な空にはぽっかりと浮かぶ美しい満月―――……
隠れていた月が雲の隙間から姿を現していた。
「…ぇ……っ!?」
満月を背にそこにたたずむのは……
「……」
夜の闇に月の光を浴びた
夜色に輝くあまりにも美しい
――――《獣》の姿だった。