「おまえなぁ、それは旦那に対する言葉か?」



ドアを開けるとそこにいたのはやっぱり十夜で



開口一番、むすっとしてそう言った。



「あたし、何か言った??」



全く不機嫌にさせる理由が思いつかなくて不思議な顔で聞くと



「………『ついに来たぁ…』」



「…………!?」



あたしはそれに口をパクパク………。



それつぶやいたの二階のあたしの部屋だってば!



「俺、耳いいし?」



「……そうでした。」



人狼って…人狼ってぇ…………!



やっぱり普通とは違う感覚に微妙にうちひしがれるあたし………。



だけどそんなあたしに十夜はいたずらっ子みたいな笑顔を向けた。



「ま、それは可愛い祈咲に免じて許してやるよ………。

今日は一段と可愛いぞ…?」



「………!!」



十夜は満足そうな顔をしてあたしを見つめると



あたしの顎に指をかけて頬に軽くキスをした。



あたしは手でそこを押さえて真っ赤になって固まった。



そしてあたしにそっと手を差し出した……………。








「さぁ……行こうか?

狼達の、巣窟へ……」



「…………っ。」









十夜は……



悔しいくらい魅力的に



そう、微笑んだ。