「遅いわねぇ…女待たすなんていい度胸じゃないの。」



買い物に行きたい萌花がちょっと苛立ち始めた時



「悪い……!遅くなった……!」



珍しく慌てた顔をした十夜が駆け足で現れた。



「…コイツなかなか来なくてよー…。」



そう腹立たし気に言う十夜の後ろには見たことない背の高いワイルドな感じの美形。



「誰………?」



あたしはますます困惑して十夜を見つめた。



「俺の従兄弟。『俺達的な事情』でおまえに会わせろってうるさくてな。」



「…………!」



十夜の言う『俺達的な事情』…ってことは……この人も人狼なわけっ!?



あたしは思わずバッと顔を上げ、自分の遥か上にある十夜の従兄弟だという男の顔を見た。



あまり似てはないけど、十夜の従兄弟なだけあって精悍に整った顔立ちの男は何だか突っ立ったまま動かない………。



「…………?」



ただひたすら一点を凝視している。



その視線の先には………



「ちょっと~!あたし早く買い物行きたいんだけど………」



も…萌花…?



「…………まさか……」



十夜が小さくつぶやいた。



――――次の瞬間



突っ立ったままだった男がゆらりと動き……








「…………見つけた……。俺の……女神…………!!!」



「…………!!?」









そう言って萌花を抱きしめた―――――!!?