「…?今なにか言ったか?」
そう言って一人がきょろと辺りを見回した。
あの音が聞こえたのはあたしだけじゃない…?
だけど、そんな雑念が過ったのは一瞬だった。
「なんも聞こえねーよ!どっかで猫でも盛ってんだろ?」
「俺らも楽しもうぜ!」
「……!?」
そして
「…ほら、こっち来い……」
「……!!!」
闇の中から無数の手があたしに向かって伸びてくる。
「……っ!!!」
ヤダ…やだ…ヤだ……――!!!
腕を捕まれ、
恐怖にすくみ、
ぎゅっと目を閉じた。
――――瞬間
――――ドシャ……ッ!!!
「…!?」
地面に激しく倒れこんだような音と
「ぎゃあぁああ!!」
「マジやべーぞ……!」
「いいから逃げろ……っ!
ヒィィ!何だよ!?アレ!!?
ば…バケモノーーー!!!」
――――予想だにしなかった……ヤンキー君達の…叫び声が響き渡った。