「早く……!医者を……!!」
「止血を……!!血が…止まらない!!」
人狼達が皆顔色を変えて動き回る。
あたしはまだ…動けない。
そんな時、あたしの耳に飛び込んできた…
「若様!!若様…!!やだよぉーーっ!!」
「いやだぁーーっ!!
若様……目ぇ開けて……!!」
「「……十夜にぃちゃんっっ!!!!」」
「……!!!」
横たわった姿にとりすがる小さな二人の泣き叫ぶ声に
強ばる手を開いた。
…べったりと、赤い……血。
フラッシュバックを起こしたように…脳裡に蘇る、…ビジョン。
飛び出してきた茶色の狼が紫月さんの背中を狙った。
いち早くそれに気づいた十夜が………
紫月さんを庇って
――――あたしの目の前で、……その牙に倒れたんだ。
「…ぃ…やあぁぁぁぁーーーっ!!!」
頬を濡らしたのは…十夜の……血……。