『強くなったよ…。あたしがずっと傍で見てきたんだから…。

あたしが一番、知ってる。』



「……!」



ずっとずっと…傍にいてくれた心花。



あたしが気づくずっと前から…



「ほんと…に、もう…い…いなくなるの……っ?」



寂しくて…寂しくて…ならなかった…。



酷く胸が冷たく感じる。まるで穴でも空いていて…そこを冷たい風が吹いてるみたい…。



…心の一部が、欠けてしまうような感覚だ。



『あたしは本来…ここにいるべき存在じゃない。

身体を持たない魂の欠片だけの存在…。

紫月に逢いたいって…未練だけがあたしをこの世にとどまらせる鎖だった。』



「……!」



心花は立ち尽くす紫月さんを見つめて微笑んだ。



『…だからもう、鎖はほどけた。

あたしは…あたしが行くべき世界に……逝ける。

祈咲と十夜と…紫月のおかげ…。』



そう…



一人一人の瞳を見つめて…幸せそうに…笑った。