精一杯叫んだ言葉に初めて紫月さんが凍りついた。
大きく瞳を見開き、固まる…。
「…何を……」
「嘘じゃない…。
心花はあたしに自分のことを話してはダメって言った…。
だからこの話しは十夜にも話してない。」
「……!」
「……。」
紫月さんは十夜に視線を向けた。それに答えるように、十夜は頷く。
「では…何故、私の元には現れない!?」
「心花を甦らせることに盲目になってるあなたには、自分の声は聞こえないからって…
もし、心花の声が届かないまま逢ったとしても…あたしを危険に晒すだけだって…
逢いたくて堪らないはずなのに……っ」
「祈咲を…守ってくれてたんだな…。」
込み上げてくる涙を堪えるあたしの傍に来た十夜がそう言って、きつく握りしめたあたしの拳を優しく舐めた。
「心花は優しい子なんです…!!
そんなふうに他人のことばかり考えて…
自分の願いは…
…あなたの幸せだけだと言ったんですよ!?」
「……!!!」
ついに涙が溢れた。
お願いだから…
お願いだから…
どうか
…気づいてください。
――――あの子の……《愛》に……。