十夜に背中を押され、思い切って口を開く。








「…あたし…、紫月さんに拐われた時…


紫月さんの花嫁…心花に初めて…逢ったんです。」



「……!」



静かに口にした言葉に、十夜は驚いた顔であたしに振り返った。



「くだらない…!!」



そして紫月さんは、間伐入れずあたしを怒鳴った。



聞く耳など持つ様子などない彼の前に、十夜が静かに歩み出た。



「…紫月、聞け。

聞かずにいれば…おまえは必ず後悔する。」



そんな十夜の言葉にも腹立たしげに地を掻き、紫狼は激しく怒り狂う。



「ふざけるな!!

馬鹿げたことを…命乞いするにもマシな話しをしろ!!」



「命乞いじゃない…!

確かに、姿は見れないし…、ゆ…夢の中で…だけど…」



「夢!?それこそ…おまえに都合良い空想だ!」



「違う!!

…心花はあたしにお願いをしたの。


愛しいあなたを助けて欲しいって……!!」



「……!?」