「姫君、あなたを紫月の前に行かせるということは最悪の事態すら招き兼ねないという危険なものです。
…それでも、あなたは行かなければならないのですね…?」



強い眼差しが向けられた。



「……はい。」



それを必死に見つめ返して、頷いた。



橙枷さんはフ…と目元を和らげ



「…では、若様の言い付けを破ったお叱りは後で庇っていただきますから。」



「橙枷さん……!!」



悪戯な顔で笑った橙枷さんはゆっくりと歩き出し、それに臆した狼達の壁が開かれ…あたしの前に道が出来た。



「紅と蒼はつけさせていただきます。

この子達の直感を信じましょう。


…私も、仲間を信じたい…。

あなたを危険に晒すことが心配ですが…

どうか…紫月を…」



最後の言葉は飲み込むようにして橙枷さんは頭を下げた。



あたしは大きく頷いた。



「花嫁もそれだけを望んでいるんです。

きっと止めてみせます……!」



「姫君……。」