固唾を飲んで橙枷さんの口が開かれるのを待った。
橙枷さんは二人に向けていた視線を一瞬だけ下げると…
「ハハハ…!
それを言われてしまうと私達はもう返す言葉もない。」
「橙枷様…!?」
「………!…じゃあ…!!」
空を見上げて声を立てて笑った橙枷さんに、茶色い毛皮の狼が目を丸くする。
あたしが勢いよく立ち上がると橙枷さんは…微笑んだ。
「参りました…。
私達の誇るべき力を持ち出されては…ぐうの音も出ない。」
そう言って、得意気に胸をはる双子ちゃんを見て目を細めた。
「行っていいんですか…?」
恐る恐る伺い見るあたしに橙枷さんは笑顔で頷いた。
「そんな……!危険極まりないことを…!」
「しかし…このままでは…」
「……静かに。」
「「………!」」
賛否両論の声がしきりにあがっていたけど、橙枷さんの一睨みによって誰も口出しは出来なくなった。
そしてまた厳しい表情に戻るとあたしを見据えた。