「わざわざ捕まりにいくようなものだ!」
「若様の戦いの邪魔になる!」
「今こそ紫月を伐たねば……!」
「……っ!!」
けしてあたしを通すまいと狼達が騒ぎ出す。
あたしはここで弱々しく泣くことだけはしないと唇を噛み締めた。
そして勢いよく顔をあげる。
「お願いです…お願い…!
絶対…この戦いを止めなきゃいけないんです!
心花の…あたしの姉の想いを伝えてあげたいの……!!」
「……!?」
叫ぶあたしに狼達が息を飲んだ。
はぁはぁと息をついて…どうかわかってと拳を握りしめた。
これでダメならどうすればいい…?
十夜…心花……っ
「「行かせてあげて……!!!」」
「……!!」
うつ向きかけたあたしの顔をあげさせたのは
「紅…ちゃん…蒼ちゃん……?」
あたしに擦りよる小さな…狼……。
思わず傍に座り込めば鼻先を顔に寄せてぺロ…とあたしの目尻を舐める…。
「泣かないで…姫君。」
「今度こそオレ達が守ってあげるからね!」
「……っ」
「「俺達が着いて行く!!!」」
――――小さな二人の真っ直ぐな瞳と…笑顔だった。