「忘れたのか?
言っただろうが……
おまえは俺の《運命の花嫁》だって………。」
「…………!!」
その熱い眼差しにあたしは思わず真っ赤になってうつ向いた。
だってなんなのっ!?恥ずかしげもなくそんなこと……っ!
そしてあたしは狼の時からこの瞳に弱い…まともに見返すことが出来なくなる。
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか…彼はまた静かに話し出す。
「俺達の直感は花嫁探しにも発揮される。
16歳は俺の一族の成人にあたる。
それと同時に一生を誓うたった一人を探す。」
「………たった一人……?」
その気になる言葉に思わずつぶやくと、彼はわずかにうつ向いて
「そう……。俺達は情が厚いんだ。生涯一人だけしか愛せない……。
例えばその一人が死んでたら…その時はもう一生誰も愛さねぇ…………。」
「………!?」
ゆっくりと顔があがり……真神十夜の瞳がじっとあたしを見つめた。
内に炎を秘めたような漆黒。
焦がれるような、その眼差し。
あたしをどうしようもなく惹き付ける――あの夜色の強い瞳であたしを射ぬく。
あまりに衝撃的なその言葉と眼差しにあたしは動くことが出来なかった。
「だから、絶対間違えねぇ……。」
その瞳に
――――囚われる。
「忘れたとは言わせねー……。
おまえだって感じたはずだ。
………甘く狂おしい…………気持ちを、俺に」
「…………!?」
あの時感じたあの気持ちは
気のせいなんかじゃないの?
それをあなたも――――知っている……?