『気づいてしまうの…?』
あたしはそんな疑問を改めて聞き返す。どうやってそんなことがわかるんだろう…?
『あたしは魂だけの存在だけど、確かに紫月の運命の花嫁なの。
花嫁からは花の香りがする…
あたしが意識に現れたら、祈咲の中にあるあたしの微かな香りが強くなる。
ただでさえ紫月は呪いによって力が強まってる…
今、見つかるわけにはいかないの…。
盲目的になっている今の紫月にあたしの声はきっと聞こえない。
祈咲を…危険に晒すだけ…』
始めは少し呆れたように…最後はどこか切なげに…心花は言った。
『呪いのことも知ってるんだ…。』
当たり前のようにすんなりと呪いのことを口にした心花に驚いた。
『いち早く気づいたのはあたしよ?
だから、祈咲には警告の為に《黒き狼の夢》を見せて紫月の目論見を知らせてあげたのに…』
『………!』
あたしが出てこれなかったからって鈍すぎる…そうぼやいて、心花は溜め息をついた。
けれどあたしは衝撃を受けるくらいにびっくりして、失礼なぼやきにもうまく反抗出来なかった。