「祈咲……。」
「………!」
あたしの名前を呼ぶ十夜の声がいつも以上に甘さを含んだ響きを帯びていて…
どぎまぎと見上げたすぐ傍に十夜の顔があった。
「…祈咲……。」
「……ん…っ。」
そして答える間もなく唇を塞がれる。
「……祈咲…」
キスの合間に名前を囁かれるだけで……あたしの思考は全て十夜でいっぱいになる。
十夜で麻痺した頭の中が痺れてしまいそう……。
絡められた舌から十夜の甘い毒がまわってくるような気持ちになった。
「…十…夜……っ」
ふわふわとどこかに行ってしまいそうな意識を十夜の服をぎゅっと掴んで保った。
「…はぁ…っ
…やべぇなぁ……。
すげぇ…ケダモノの気分……。」
「……ぁ…!」
唇が離れたら
耳を甘く噛まれ…
囁かれた色っぽく掠れた声に高く上擦った声が口をついた。