『心を引き裂かれるような思いをした…

死ねば楽だと、思いもした。』



眉を寄せ、きつく瞳を閉じたその様子は目をそらしたくなってしまうほどつらそうで……



まだ癒えぬ傷があることを知った。



『この満たされぬ想いから一生…逃れられはしないだろうと思う。


……だが、

私はもう死にたいとは思わない。』



力強くきっぱりと言い放ったその視線は、十夜に向けられていた。



『私には、おまえがいてくれたからね……。

おまえが私に…空(から)の魂の半分を埋めてくれるほど惜しみ無い信頼と愛情を与えてくれた。



だから……


花嫁を失った人狼にも、愛は、…ある。


……己が気づくことが出来たならば。』



『………!!』



胸の中にじわりと灯る…温かな光。







これは……






『まだ間に合う。

彼のために残った愛があることに気づいていないだけだ。…兄のように。

それを教えてあげなさい。


……紫月は、助けられる。』









胸に灯る…《希望》の光










――――《希望》は、あるんだ。