瞳を細め優しく微笑む十夜の綺麗な顔に赤くなったまま釘付けになる。



まるで、今この夜空に浮かぶ月の様なこの人は…絶対的な引力を持ってあたしを惹き付けて止まない。



憂いの消えた瞳にはこの星空にも負けない美しい夜色が輝いていた。



そして、頬をひとつ掻く照れくさそうな仕草の後…




「……感謝しても、しきれねぇよ……。

こうして、今の俺があるのは親父がいてくれたからだ。

あの背中を追いかけてこれたから……

あの手を、俺に差し出してくれたから……


親父の息子である自分が、ただ、……嬉しい。」



一言一言を、大切に噛みしめてでもいるように十夜は《嬉しい》と言った。