「まぁな……。
…危うく典子さんに預けられるとこだったからなぁ…
爺さんには足を向けて寝られねーよ？」
「………。」
そんな馬鹿なことを言った十夜にうろんな目をして横を向けば、ニヤリと口の端を持ち上げて笑っていた。
「もう！…違うでしょ？」
ふざける十夜に腹を立てて膨れれば
「………わかってるよ。」
「………！」
ニヤリ顔を苦笑に変えた十夜から膨れっ面を片手で押さえられ、ぷっと頬から空気が抜ける。
掴まれたまま見上げた顔は…柔らかな笑顔だった。
ぽかんと見上げるあたしの頬をゆるり…長い親指がいとおしそうに撫でる。
その甘ったるい眼差しと仕草に
あたしの頬はたちまち赤く色づいた。
