「……《呪われた…牙》……?」
初めて聞いたそれをつぶやき、ぞろりと嫌なモノが背中を這うような感覚にザッと鳥肌がたった。
隣に視線をやれば、橙伽も眉間に深くしわを刻み難しい顔をしていた。
紫炎爺は静かに茶を口にすると、フ…と小さく息をついた。
そして写真をトン…と軽く指で叩いた。
「……もう若様は察しておられるだろう……。
紫月の目的は自らの花嫁の甦り……。
この黒き本には、その確かな方法が記されている。
《呪われた牙》の創り方――そして、それにより産まれた……
16年前の惨劇の記録―――全てが………」
「…………!!!」
――――16年前………!?