「その黒い本はなんだ……?
俺はこれでもよく書庫に行くが…そんなもんは見たことがない。」
写真を手に考え込むように黙ってしまった紫炎爺に俺は変に落ち着かなく、催促するように身を乗り出して聞いていた。
「この古書に関しては何も心配する必要はないものだ。」
紫炎爺が黒い本以外の古書の写真を俺の前に並べてみせた。
――――そして
黒い本の写真をゆっくりと俺の前に出す。
その動作に、俺は知らず息を飲んでいた。
「………これは、真神の外に持ち出すことを固く禁じられた………
真神の《禁忌》――
閲覧禁止の……《呪われた牙》について書かれた本です。」