勘違いしてる人から後からがっかりされる度に
あたしはどんどん臆病になる。
だからうかつに踏み込めない。
だからなのかな……?
マガミトウヤが気になるのは
あの黒くて美しい夜色狼……
『俺は、おまえの為に生まれた。おまえは俺の為に生まれた…』
それは《運命》だと
あの狼が、言ったから―――…
――――ガラッ
「………!」
ぼんやりと物思いに耽っていたところで教室のドアが開いた。先生が入ってきて、あたしはハッと顔をあげた。
担任の吉沢先生は真面目でお堅いアラフォーな黒ぶち眼鏡先生だ。
すごく人気があるわけじゃないけど、真面目だし、生徒思いないい先生だと思う。
先生は教壇に立つとぐるりとあたし達を見回して、入ってきた扉に再度視線を向けた。
そしてもったいぶった口調で口を開いた。
「今日は転校生を紹介する。
……入りなさい。」
「……はい。」
小さくつぶやかれた低く甘い美声に、クラス中の視線が扉に集まった。
転校生がその姿を現した瞬間――
「「キャーーッ!!」」
「女子うるせーぞっ!」
女の子達が思わず歓喜の雄叫びをあげた。
だけど、あたしは一切の声を出せなかった。
「転校生の………真神十夜です。」
「………!!?」
あたしは、あの、進撃な目が
――――忘れられない。