「………さて、何から話しましょうかな?
紫月のことで私が隠すことは何もありませんからな。」
紫炎爺はやはり全てお見通しで
実の息子である紫月のことを何のためらいもなく笑顔すら浮かべて口にした。
「紫月が真神の書庫から持ち出した古書の内容を知りたい。」
紫炎爺はそれに軽く目を見張った。
「そうですか……。
アレは《禁忌》にすら手を、つけましたか………。」
それはもうどこか諦めたような響きを帯びた小さな声だった。
内容すら聞かずに紫炎爺はそれだけで全てを覚ったようだった。
「…………《禁忌》…?」
つぶやかれたその言葉が俺の胸を何故かざわつかせた………。