「来ましたかな…?若様……。」
「いきなり、悪い………邪魔をする。」
突然押し掛けたことを詫びて、橙伽と伴に腰をおる。
紫炎爺は日に焼けた麦わら帽子を取ると、いつもの上品な微笑みを俺達に向けた。
「ハッハ…!我らに用聞きもないものだ。
人狼にそれは無粋と言うもの……。
今日は若様のお顔が見られると、爺は喜んでおったのですぞ?」
俺達に備わる直感を粋に笑い飛ばし、楽しげに笑う紫炎爺は
いつ会っても気持ちの良い人だと…固くなっていた心をあっさりとほぐされそう思う。
「さすがは紫炎爺だな。………恐れ入る。」
俺が笑顔を見せると満足そうに頷いて……紫炎爺は俺達を屋敷の中へと快く招いてくれた。