「あたしはもうすっかりいいのよ。
正直言ったらとっとと退院したいわけ。
ただね………。」
萌花はあっけらかんとそう言うと、次にチラリと扉を見つめた。
「ただ……?」
あたしは妙に言葉を濁した萌花が不思議でそう聞き返しながらその視線の先の扉を同じように見つめた。
二人で扉を見つめて数十秒………
――――バタンッ!!
「………!?」
勢いよく開いた扉にあたしは思わずビクッと身体を震わせる。
なのに萌花と言えば
「…………ほら、来た……。」
額に手をあて長い溜め息までついて、まるでうんざりとでも言いたげにつぶやいた。
――――なぜならば
「萌ー!!具合はどうだっ!?
………!少し顔色悪いんじゃないか……!?」
「うるっさいわね!!あんたがぎゃあぎゃあ言うから気分も悪くなるわよ!!」
病室に飛び込む勢いで入ってきた灰斗に向かって、萌花は青筋たてんばかりに怒っていた………。