――――ガバ……ッ!



「……………っ!?」



あたしは布団を跳ねあげ勢いよくベッドから起き上がっていた。



「ハァ…ッ…ハァ…ッ!」



心臓はドクドクと早鐘を刻み、あたしは身体中にぐっしょりと汗をかいていた。



汗は間違いなく冷や汗で………



頭の先から足の先までひんやりと冷たくなっているような気がする。



額の汗を震える手の甲で拭い………



ふぅー……と、長い息を吐いた。



夢だ。



――――夢。



心の中でまるで自分に言い聞かせるようにつぶやいた。



「…………。」



そして傍らで寝息をたてる十夜に視線を向けた………。



黒い狼…………。



何百年に一度という確率で生まれる稀少な生まれながらの人狼の王。



夢の中で見た悪魔のようなあの狼が脳裏を過る―――



あれは確かに十夜とまるで同じ―――夜の闇を溶かしたような毛色の狼だった。



だけど、



あれが十夜であるはずがない…………!



いくら、あんな話しをしたからって………



なんて夢を見るの…………!



あたしはきつくきつく…………自分を責めるように拳を握りしめた。