きっぱりとそう言った十夜の口振りはまるですでに何かを確信でもしているかのような潔さだった。
橙伽さんとあたしが揃って十夜に視線を向ける。
十夜は顔を伏せたまま、静かに話し出した。
「祈咲と離れて……
俺は、紫月のことを考えた。
花嫁を失ったアイツのことを………。」
十夜はぎゅっと自分の胸元を掴むと険しかった表情を苦しそうに歪めた。
「俺ならどうだろう…って考えた。
おまえを失った俺は、どうするか………
何をしてでもおまえに逢いてぇと…思うんじゃねぇか…って…………。
そう、思ったんだ……。
アイツは真神の書庫で何かを見つけたに違いねぇ。
祈咲を使って自分の花嫁を――――《甦らせる》手掛かりを」
「…………!!」
苦しそうに顔を歪め、そう言ってあたしを見つめた十夜は
たった一人しか愛せないという人狼としての性(さが)を
痛いほどに感じとってしまったんだろうと…………思った。