『…真神の者が手当たり次第に《狩られて》おります……。』
――――衝撃的な言葉に声が出せなかった。
《狩られてる》…って、どういうこと……?
「…紫の狼により一族の人狼が襲われているのです。
幼い者から老いた者まで正に手当たり次第……。
皆、一様に頭部や喉元といった部分を狙われております。
幸いと言いますか…人狼は回復力が高いため命こそ奪われてはおりませんが……。
襲われた場所は様々で、一ヵ所に留まる様子はございません。」
いつもどうり淡々と話す橙伽さんの表情もどこか固い……。
「………頭に、喉………?」
十夜は険しい顔のまま橙伽さんに視線を向けた。
橙伽さんは十夜に向かって頷くと
「まるで血を浴びる為のように食らいついてくるのだと…襲われた者が言っておりました。」
「…………っ!!」
残酷な様子が浮かんできて、思わず口を両手で覆っていた。
「………俺達(人狼)の《血》が目的か……。」
「………!!?」
十夜の低い声に、橙伽さんは無言で頷いた。