怒りに全身から熱がたちあがっているかのようだった……。
真夏の陽炎のようにゆらゆらと……
身体全てを怒りと言う名の熱に包まれる。
「………っ!」
…ザワリ…鳥肌のような感覚が肌を覆う。
舌に鋭い何かが触る…口の中で犬歯が伸びる感覚だった。
「………っ………クソが………っ!!」
力のコントロールが出来ねぇなんか餓鬼の頃以来だ……!
「…………ぅ…ッ…ぁ…」
ギュウ…と身体を丸めて、抗えなくなりそうな狼への変化に堪える。
ドクドクと激しく脈打つ心臓を抑えるように胸元の服をきつく握りしめた。
ミシミシと軋む骨
変化へ抗おうとする力が普段とは比べものにならない苦痛を産んだ。
普段であるなら狼への変化は一瞬
ゆっくりと…抗えぬものにより変わる時の苦痛は堪え難いものがあった……。
姿を黒い獣に変えた俺の瞳の裏に映るもの
「……グルルルル………」
低い咆哮とともに……
――――ズシャ……ッ!!
地面の土がえぐれるほどに地を蹴って駆け出した。
――――紫月!!!
許せぬ怒りに
…支配された。