「……ざけんじゃねぇぞ!!」
――――ドシャ…!!
怒りに任せて奮った拳が地面にのめり込む……。
怒りで……目の前は真っ赤に染まったかのようだった。
俺が戻って来たのは、双子が傷つけられ祈咲が連れ去られた直後………。
「何が……直感だ……!!!」
自分の間抜けさに腹が立ってしかたがなかった。
「若様、家の者達が出払っていたわけがわかりました。」
「……言え。」
惨事の出来事を調べてきた橙伽に顔も見ずに先を促した。
橙伽はそんな俺を咎めることなく静かに口を開いた。
「……萌花さんです。」
「何だと…?」
その答えに振り返り橙伽の顔を見た。
「…錯乱状態の萌花さんが発見されたのです。
灰斗殿の手だけには負えぬほどの状態で…
精神的にもまいっていたでしょうが…何か……薬のようなものを使われた可能性が高いようでした。
彼女を抑えるために皆でここを空けてしまったようです。」
「………っ!!」
言って、橙伽が顔を伏せる。
力いっぱい握りしめる手に爪が食い込んだ。
おまえは…どこまでやるつもりなんだ……?