――十夜――
帰って来た俺を待っていたのは凄まじい衝撃だった。
血塗れで横たわる紅と蒼……。
影も形も見えない祈咲……。
とまらない胸騒ぎに急いで切り上げて帰ってきたけれど……
…散々な有り様だった。
双子はすぐに真神が経営する病院へと送られた。
命に別状はなかったが、紅も蒼も軽いなどとは言えないほどの重症だった。
横たわる双子を抱き上げた時―――……
『紅!!蒼!!』
『………わ…か……さま………。
ごめ………な…さ………』
かろうじて意識のあった紅が口にしたのは謝罪だった……。
それに俺はギリ…と歯を食いしばった。
『クソ餓鬼が……!
こんな時に謝るんじゃねぇ!!
こんな………血塗れで…若様…言ってんじゃねぇぞ……っ。』
『………!』
怒鳴る俺にくしゃりと子供の顔が歪む。
『…とぉや…兄ちゃ………ひめ…ぎみと……あぉ………たすけて………っ…』
『当たり前だ……!!……紅刃……!』
弱々しく…小さな頃の呼び名を呼んで…差し出された小さな手を、握りしめた。